2015年12月9日水曜日

開発業務のチーム内チャットツールとしてZulipを導入してみた感想

最近Dropboxがオープンソースとして公開した「Zulip」というチャットアプリ(サーバとクライアント)を社内に試験導入してみました。

もともとIRCを使っていたのですが、周知したいメッセージを送ったのに誰かが接続されてなくて「それ知らない」が発生したり、過去ログがなくて「あのときどう言ったっけ?」みたいなのを探せなかったりして不満があったからです。

ざっくり使ってみた感想としては、悪くもなく、良くもなく、といったところです。

サーバ構築

Ubuntu 14.04.3を仮想サーバとして用意しました。
その上で公式の手順をコピペでセットアップしました。

すると5番目の黒四角「su zulip -c /home/zulip/deployments/current/scripts/setup/initialize-database」で失敗しました。

下の説明を読むと「Zulip in production READMEを読んで/etc/zulip/settings.py」を編集しろ、と。
以下のように編集しました。※カッコは設定値の例
シングルサインオンは使わず、メールサーバも暗号化なしの25番ポートです。

  • EXTERNAL_HOSTにホスト名をFQDNで(zulip.myoffice.co.jp)
  • ZULIP_ADMINISTRATORに自分のメールアドレス(hypermiod@myoffice.co.jp)
    ※後述しますが、管理者用のメールアドレスを用意しておく方が良いかもしれません。
  • ADMIN_DOMAINにドメイン?(myoffice.co.jp)
  • AUTHENTICATION_BACKENDSは先頭のEmailAuthBackendの行をコメントアウト
  • EMAIL_HOSTには社内のメールサーバをFQDNで(smtp.myoffice.co.jp)
  • EMAIL_PORT = 25
  • EMAIL_USE_TLS = False
  • DEFAULT_FROM_EMAILは適当にドメイン部分を置き換え(Zulip <zulip@zulip.myoffice.co.jp>)
  • NOREPLY_EMAIL_ADDRESSも同様(noreply@zulip.myoffice.co.jp)
なお最初ERROR_REPORTINGをFalseにしておくのを忘れてしまいましたが、後から変更できました。

設定を変更してから再度5番目の「initialize-database」を実行するとうまくいき、続いて最後の「su zulip -c /home/zulip/deployments/current/scripts/restart-server」で起動しました。

ユーザ登録

Chromeで「http://zulip.myoffice.co.jp/」へアクセスすると、自動的にhttpsへ転送されます。
証明書の警告画面を強行突破すれば、ログイン画面が表示されます。

Registerへ進み、ZULIP_ADMINISTRATORに設定したアドレスで登録すると、「Activate your Zulip account」というタイトルの確認メールが届くので、本文中のリンクからアクティベートします。

これでログインできました。

ぱっと見の印象は「分かりづらい」でした。
英語と言うこともありますが、画面に見えている要素が何なのか知識がなかったからです。

要素

  • ストリーム(Stream)
    チャットのグループです。購読(Subscribe)できるユーザを制限できたりします。
    基本的には管理者がプロジェクトごとなどの単位で作成しておくと良いでしょう。
     
  • トピック(Topic)
    ストリームの中で会話を分けるためのものです。
    画面左のストリームを開くと、トピックの一覧が表示されます。
    トピックを削除することはできません。ミュート(Mute)することはできます。
    ただトピックへの投稿が減れば一覧末尾の(more topics)へ押しやられるので普段目にすることはなくなります。

初期設定

右上の歯車メニューから色々と変更しました。

  • Manager Streams
    チーム共通、プロジェクトごとのストリームを作りました。一応すべてPrivateとし、メンバを制限しています。
     
  • Settings
    Display Settingsで24時間表記にしました。
     
  • Administration
    Your organization's nameを「○○チーム」と変更しました。
    ブラウザのタイトルに反映されます。

気づいたことなど

  • 最初は自分が管理者です。「Administration」設定で他のユーザも管理者にできます。
     
  • 管理者のみに有効な項目は一般ユーザには見えません。
    当然と言えばそうなのですが、管理者からするとどの項目が一般なのか分かりづらいです。事前に管理者専用のメールアドレスを作成しておいて、常用するメールアドレスをそのまま管理者としないほうが良い気がします。 
     
  • IEはダメなようです。IE11だとログイン後の画面でずっと「Loading」が終わりません。
     
  • 後から参加したユーザは、それまでのやりとりが見えないようです。つまりStreamに「使い方」みたいな投稿をしても、肝心な人に届きません。
     
  • 検索がダメっぽいです。日本語だと何も見つかりませんし、英語も見つかったり見つからなかったり。というか"topic"や"stream"でもBotのメッセージしか見つかりません。
     
  • ブラウザではなくWindowsやMacのクライアントもあるのですが、動作しませんでした。インストール後起動時にドメインを指定しろ、とあるので「zulip.myoffice.co.jp」を指定したのですがいつまでも画面が真っ白でした。
    自己証明書だからか、とこのページにあった--allow-insecureオプションも指定してみましたが変わらず。
というわけで「なんかイマイチ」感が漂いますが、そのうち良くなるかなと思いながら使ってみることになりました。できればコントリビュートとかしたいのですが時間が・・・。